心象旅路

いらっしゃいませ。
今日はいろいろあった悩めるシェフです。
何があったかなんて聞かないでください。

心象旅路

K君は物心ついた時から一緒にいる友達だ。

僕がまだ幼いころ、何をやってもうまくいかなくて落ち込んでいた。

K君は落ち込んでいる僕をいつも励ましてくれた。

「本当に辛くなったら、俺がなんとかしてやる。だからもうちょっと頑張ってみなよ。」

辛いとき、苦しいとき、K君だけは寄り添ってくれた。

K君はかけがえのない友達だ。

しかし、最近になってK君の様子がどうもおかしい。

いつもみたいに僕を励ましてくれるのだけど、どこかよそよそしいのである。

そして今日、言われた。

「これから先、君がまだ前へ進むのなら俺はもう君を助けてやれない」

僕は彼がどうしてそんなことを言うのかわからない。

「辛いとき、苦しいとき、君がいなきゃだめなんだ。」

彼は語気を強めて言った。

「甘えるんじゃない。もう君は俺がどうにかできる所にはいないんだ。君はもう一人でだって前へ進むことができるじゃないか。さあ、俺なんか置いて早く行ってしまえ!」

僕は言葉を失った。そして、思い知った。

ここから先へ進むなら、僕はかけがえのない友達と別れなければならないのだ。

僕は黙って前を向き、いつものように足を踏み出した。

泣き顔だけは彼に見られたくなかった。

後説

K君は希死念慮です。どんなに辛いときも希死念慮だけは僕に寄り添ってくれました。生きるということはとても辛い。答えのない旅路です。

「本当に辛くなったら死ねばいいさ、僕はいつだって死ぬことができる」

ところが、最近になって正式に雇用されることが決まり、簡単に死ぬわけにはいかなくなってしまいました。今死んだら、これまで支えてくれた人全員を裏切ることになってしまいます。

生に未練なんてかけらもないはずなのに、生きるの嫌で仕方ないはずなのに、いつのまにか自分の意志で生きることを選んでしまっている。

「ここから先へ進むなら、もう希死念慮に頼っちゃいけない」

そう思って涙を堪えながら家に帰ってきました。病みそうです。否、病んでます。家に着いて、抗不安薬を飲もうかと思いましたが、飲みませんでした。

お風呂に入って、こっそり泣きました。そして、気持ちを整理するために今、書いています。

なんだか支離滅裂ですが、これが今の私です。本当に希死念慮とお別れできるかどうかわかりませんが、辛くても前に進むしかないのかなと思っています。


今回はここまでです、お気に召されましたか?
それでは、またお会いできますように。